焼肉大好きな私が肉を絶ってみて分かったこと
私の断肉生活のきっかけ
5月に入ってから、なるべくではあるけど、肉を断っている。
きっかけは、こんな記事を読んだからだ。
コロナパンデミックの原因は「動物の軽視」 霊長類学者グドール氏 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
世界的に有名な英出身の霊長類学者、ジェーン・グドール(Jane Goodall)博士(86)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は、人類が自然を無視し、動物を軽視したことに原因があると指摘している
氏の主張は以下の通り。
グドール氏:われわれが自然を無視し、地球を共有すべき動物たちを軽視した結果、パンデミックが発生した。これは何年も前から予想されてきたことだ。
例えば、われわれが森を破壊すると、森にいるさまざまな種の動物が近接して生きていかざるを得なくなり、その結果、病気が動物から動物へと伝染する。そして、病気をうつされた動物が人間と密接に接触するようになり、人間に伝染する可能性が高まる。
動物たちは、食用として狩られ、アフリカの市場やアジア地域、特に中国にある野生動物の食肉市場で売られる。また、世界中にある集約農場には数十億匹の動物たちが容赦なく詰め込まれている。こうした環境で、ウイルスが種の壁を越えて動物から人間に伝染する機会が生まれるのだ。
つまり、
環境破壊 (動物の住処を奪う) と
肉食 (動物を集約農場に詰め込み繁殖させる)という動物への軽視によって、
動物が近接して生きざるを得なくなったことが感染症発生の根本的な原因だ、という主張だ。
私は、この主張が正しいのかそうでないのか、正直言ってよく分からない。
でも、少なくとも都市圏で人々が密接して暮らしていることが、そこでの感染症拡大の大きな原因になっていることは明らかだし、
人間以外の動物の場合でも、密接することによって感染症が蔓延しやすくなるというのはイメージしやすい。
肉食が及ぼすその他の影響
それ以外にも、これまで肉食によるネガティブな影響については色々なところで耳にしてきた。
代表的なものは、温室効果ガスの排出。
「温暖化ガス排出食」の王者は牛肉、畜産分野の約80% 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
全世界の温室効果ガス排出の18%が畜産業関連と言われ、中でも牛肉生産による排出量が最も多い。
地球温暖化を止めるには私たちが「肉や乳製品を食べなくなる」ことが不可欠 - GIGAZINE
畜産は二酸化炭素よりも強力な温室効果を発揮するメタンや亜酸化窒素の主要な排出源であり、森林破壊の主要な原因でもある。
また、畜産に必要な土地を確保するための森林伐採や、食用の肉の処理に大量の水が使われることなども問題視されている。
出展:
https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2018/03/17/6905/
試しに断ってみた
それぞれの説に懐疑的になることは出来なくはない。
だが、ここまで色々言われているということは
肉を食べることは大局的に見れば、どうやら良いことではないらしい。
これまでも「畜産のCO2排出量は〜」「そもそも倫理的な問題が〜」など、肉食に関する否定的な情報を耳にすることはあった。
でも、
- 今までずっと食べてきたし、やめるなんてできるの?
- そもそも人間って肉を食べるようにできてるんじゃないの?
- 身体が弱くなったり、体調を崩しやすくなったり、貧血になったりしないの?
という不安もあり、
「じゃあやめましょう」とはならなかった。
だが、今回コロナで今まで経験したことのない人類の危機を感じ、
さらに今は在宅だし、外出しなきゃいけない用事もないし、多少身体が弱くなっても大丈夫じゃない?ということに気がついたので、
思い切ってやめてみた次第である。
やめてみて思ったこと
具体的には、5月の1日から10日まで、肉を一切食べなかった。
食べないのは肉だけで、卵、牛乳、魚、シーフードなどはOK。
10日間の期間限定にしたのは、上に書いた通り、「本当に大丈夫か?」という不安があったためだ。
この時思い出されたのは、
私が妊婦だった時に、異常なほどに糖分を欲していた時の記憶だ。
自分の生命を維持した上で、お腹の中の別の生命体の生命も維持し、新たに身体を作っていかなければいけない。
妊娠前と同じ食生活をしていたら、間違いなくエネルギー不足になる。
甘いものが欲しい、糖分・糖質が欲しい。
それは間違いなく身体が発していたメッセージだった。
その時のように、これまで当然のように摂っていた肉を摂らなくなると、今まで感じたことのないような欠乏感が襲ってくるのではないか。
そんな不安があったが、
結論から言うと
なんの問題もなかった。
体調的にも問題なかったし、
肉を食べたいとすら感じなかった。
「え?もう10日?」というくらいである。
「もしかしたらこれまでも、10日くらいは肉を食べない期間があったのではないか?」と一瞬思ったが
恐らくそんなことはなく、これまではほぼ毎日何かしらのお肉は口にしていた。
卵、魚、シーフードがあればなんの問題もない
もちろんアスリートなど運動量の多い方や、元々貧血気味の方など、個人差はあると思うが
私が試した限りだと、肉をとらなくてもその他の食材でタンパク質を補っていればなんの問題もなかった。
感覚的には、「白い服を着ない縛り」くらいの不自由度だ。
その程度のことで、感染症や環境破壊の大きな要因のひとつを軽減できるのか、と思った。
同時に、
その程度で消費される命ってなんなんだろうと、今まで感じなかった気持ちにもなった。
もちろん、魚やシーフードにも命はあり、命をいただかずに生きていくのは簡単なことではない。
命という観点で言えば、牛丼よりもしらすご飯やタラコの方が残酷な食べ物だと言うこともできる。
でも、今回断肉をしてみたことで
どちらかと言えばこういう気分、くらいで生き物の命を奪うことに、慣れてしまっていた自分にも気がつくことができた。
私たちが命をいただく時、その罪は自分だけのものにならないように出来ている。
生き物を殺す人、それを処理する人、運ぶ人、売る人、食べる人、みんなで罪悪感を分け合っているみたいだ。
なんだか死刑執行のボタンを、みんなで押しているみたいな話だなと思った。
10日目の夜に食べた焼き肉の味
そんなこんなで10日間の断肉チャレンジを終えた私は、5月10日の夜に焼肉を食べた。
上に書いたような色々なことを感じた断肉だったが、「5月10日の夜に焼肉をする」ということはチャレンジの前から決めていたし、家族とも約束していたので、決行した。
大好きな精肉店で買った新鮮なお肉をお腹いっぱい食べた。
以前であればとても幸せに感じていたはずだ。
でも、私は自分の心の体が一致していないような変な違和感を覚えてしまった。
美味しかったけど、どこか楽しみきれず、次の日からまた断肉することにした。
これから
これからも肉断ちを続けるのか、それとも以前のように毎日食べるのか、私はまだ決めていない。
でも、今は10日に1回くらいのペースでお肉を食べる生活を続けようかなと思っている。
焼肉を食べた日から9日、私はほとんど肉を食べていない。
(厳密にいうと、ラーメン屋さんでチャーシューを食べてしまったが。)
これからも考え続けて、ためし続けていこうと思っている。